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【終電繰り上げ】JR東日本

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JR東日本が注目の発表をしました。2021年春からの予定で、東京駅から100キロ圏内の在来線について終電の時間を30分程度繰り上げるとのことです。

鉄道依存度の高い関東圏の住民としては、かなりいろんな影響が出そうで気になる話題となりますね。

 

なるほど、終電後の保線ですか

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最初に耳にした終電繰り上げの理由は、保守点検作業の働き方改革というものでした。なるほど、時代をかなり反映したお題目が発表されるようになったんだなと思いました。早朝から深夜まで、年中一日たりとも休むこと無く鉄道が運行されているのも、保守点検作業が綿密に実行されているからということは、利用者としても想像の範囲ではあります。

そもそも電車の運行されていない深夜にしかできない作業も多いでしょうし、保線関連の業務にあたる人たちはもともと昼夜逆転の生活になったり天候に大きく左右されたりしてタイヘンだろうなと思います。そういう社員や協力会社の人たちのためになるのなら、致し方ないのかなとも思います。

でもどうやらJR東日本の社長の発表内容を見る限り、そもそも大きく鉄道に依存していた通勤を主体とした国民の生活が、新型コロナの一件が引き金となって激しく減少したことや、社会的な移動や自粛の要請による行動パターンの急変により、収益悪化が今後も続くだろうという見通しが、今回の決断に至った最大の理由なのではないかと感じます。

終電繰り上げの影響は拡がる

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最初イメージした影響は、タクシーの売上が伸びるんではないかと思ったこと。終電を逃した人が仕方なくタクシーにのって遠くの自宅まで帰るという単純な絵がイメージできるものの、どうやらそもそも夜の街で遅くまで過ごす事自体が、今までのように戻らないだろうという予測が多いみたいですね。

確かに心情的には、終電も早く終わるようだし早めにうちに帰るかと思う人が増えます。それを見越して早く店じまいとする飲食店なども増え、経済効果としてはマイナスになりそうです。

そして、そもそも平日については社会全体での在宅勤務の比率が上がり、人の移動そのものの需要は今後ももとに戻らないのは確実でしょう。
実際、基本的に通勤定期券の支給を無くした会社も多く、検討中の会社でも順次取りやめとなってくると予想できます。これはJRに限らず、通勤を鉄道に依存しまくっている関東圏などでは特に、鉄道会社にとって大打撃となることでしょう。

世の定期券を使っている社員一人あたり、月額安くて数千円、高いと10万円に届くような費用がまるまる無くなるんですから、巨大な変化ですよね。

鉄道の利用状況データを見ていたら、ここに行き着きました。

公共交通政策(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000091.html

気が遠くなるような大量の数字がまとまっていて感服しますが、これを見て感じることは、

  • 人口は今後減少していくことが確実
  • 女性進出による乗車数上昇以外は、ほぼ減少傾向
  • 定期券を利用している人は鉄道利用者の約6割程度

といったところでしょうか。会社が定期代を出さず都度精算方式にシフトしたら、一層在宅勤務が増えて鉄道会社は相当な減収でしょうね。

鉄道会社の工夫は続く

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東京の中心に向けた毎朝の満員電車が諸悪の根源と言われて久しいですが、3密回避が推奨されるとともに更に拍車がかかりました。

関東圏全体にわたり、通勤通学以外でも鉄道に依存しまくっていると言えますが、ネット技術や生活パターンの進化とともに人生設計を見直す人や、企業オフィスのあり方を見直す機運はしばらく進むでしょうから、鉄道経営も変わらざるを得ないと思います。もしかしたら5Gから6Gになるであろう10年後くらいには、本当の意味で地方移住が当たり前になっているかもしれませんし。

鉄道会社側が今までいくら言ってもオフピーク通勤が進まなかったですが、オフピーク割引定期券の発行も検討しているようですし、こちらも進むでしょうかね。個人も会社もお得感のあるシステムに設定することがポイントでしょう。

連鎖が大きい社会インフラである鉄道の終電を繰り上げただけでも、これからニューノーマルを作る動きの中で国民の暮らし方や生き方にまで影響しそうだと感じた動きでした。