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【GaaS】デジタル庁はとてもアナログ?

社会 経済

菅新政権になり、デジタル庁設立に向けて平井大臣が動かれていますが、このデジタルという用語そのものに抵抗がある人が多いことが、やっぱりいろんなネックになってるのかなと漠然と思っていました。

そんな中、昨日興味深い対談があって内容を聞いてみると、デジタル政府がやろうとしていることはとってもアナログなんじゃないかと思えるのです。

デジタル用語が難しいという宿命

digital
NewsPicksから案内が来て、昨日配信の落合陽一さんの平井大臣も交えた対談WEEKLY OCHIAIを昨日視聴しましたが、大変興味深いものでした。

宿命などというとちょっと大げさかもしれませんが、デジタル用語というのはそもそも、日本で発明されたり創出された技術や考え方が極端に少ないから、聞いたこと無い外来語が多いのが実情です。私の付き合いの範囲でも、アレルギーのようにデジタルを理解することをやめる人も多いと思います。

一方、国や世間からは、堰を切ったようにデジタル化の議論が、ニューノーマルの議論に絡みながら噴出してきている感じもします。在宅勤務やオンライン会議一つやるのに、必要に迫られてデジタルツールを使わされたりして、かなり強引に今まで暮らしていたスタイルからの変化でプレッシャーを感じている人も多いと思います。

この対談では、そのへんのわからない感がスッキリした気持ちになりました。自己流ではありますが、エッセンスだと思ったポイントをメモしておきます。

GaaSがまず立ち上げられる


まずは、なんとかaaS(〜as a Service)と表記されるデジタル用語の新語としてGaaS(Government as a Service)を改めて表現されていましたが、これは既に地方などで始まっている行政サービスのシステム化などに使われる数年前からの用語です。

ここで平井大臣いわくは、GaaSのSはstartup、つまり新しいことを仕掛けて創っていく政府という意味で、新しくできるデジタル庁は他のデジタル関連企業に多い形態としてのベンチャー起業的なスタートアップ機関であると表現されています。内容も新しくなりますが、この分野スピードが重要です。

多くの省庁にまたがって政府の機能や権限が分散してしまっているところを、予算も含めて取りまとめる事が重要なミッションです。これにはいわゆる既得権益や、これまでの伝統的経験をベースにした人が大量に存在することでしょうから、相当なパワーをもって改革をしていく必要がある機関になることと思います。

これから国の将来を作る若い経営者層が、行政の誰に話したらいいのかわからないケースが多いので、特化した省庁がそれをサポートするということが、いいアイデアの実行につながる道になると期待されます。

目的はデジタルでない


三井住友銀行が紙の通帳を有料化するとか、インターネットバンキングアカウントを設定しない利用者には課金するなどの動きが出ています。ここでの目的は処理のスピードアップと銀行側のコスト削減でしょう。

このケースでも、一度ネットバンキングの機能を使い始めてしまうと、ほとんどの取引ですでに銀行に行く必要が無い時代になっていることがわかるのですが、やりだそうとする人がどうも増えないのです。これだけスマホが浸透しても、紙や現金の方がいいという人が、まだ日本では過半数なようです。

毎日のようにお世話になるお金に関してもこの状態ですが、こうなってしまっている根本原因は実はUIとかUXなんだと思われます。つまり使い勝手が悪い、操作の仕方がわからない、操作できてもやること多くてめんどくさい、デバイスを所持して操作するしても恩恵が感じられないなどなどの現実があります。

現金の方が危ないですよとか、わざわざ銀行に行くのが大変ですよと言ったところで、別に今は困ってませんよということになってしまう。ここで原点に立ち返ると、行政が提供しなければならないのはデジタルな何かではなくて、国民がもれなく恩恵にあずかることができる機能やサービスであって、そのやり方が今後はデジタルになっていくという話なんです。

ただ現在、通帳も契約書も、デジタルデータでは無くハンコ付きの紙が正式だとするのは、ちょっとおかしいとは思えますね。

教育も同時にすすめていくべき


デジタルの用語は考え方自体が英語圏からほとんど来ているので、日本語に訳すと言う事が常に可能と言うわけにはいかないでしょう。でもこれからの時代を生きていく人たちは、デジタル関連知識について義務教育に組み込むのも良いのではないかとの案も出ていました。

義務教育とは学ぶための機会を提供する義務であって、受講する側にとっては権利ですので、選択制にするなど工夫が必要だとは思いますが。生活・経済だけでなく、働き方、教育、行政、医療、防災にわたりデジタル化を進めるべき分野や事業は相当数あるでしょうから。デジタルに弱いと言われる高齢者に対しても、時間があるので学校で自由に無料で学習してもらうというのも良いんじゃないでしょうか。

カタカナで言うデジタルというのは、現実的に訳せないと言われてました。会の最後に落合陽一さんがなかなか納得のまとめをしてくれましたが、あえてカタカナを使わず表現すると「情報、多様性、計算機、持続可能性。これらをまとめるものがデジタルなんだけども、それを漢字で表すことができるハズ」と。

この人々の知識面の底上げは行っていくとして、行政側では国全体で利用価値が高いデータを一元管理するシステムを構築し、便利でオトクで安心な社会にしていくべきでしょうね。デジタル社会を推進する基本法が作られることでしょう。

平井大臣が強調されていたのは、実はデジタル庁といっても、やるなかみは極めてアナログのことなんだよと。no one left behind、つまり誰一人取り残さないと言う考え方とやり方が一番大事だということですね。