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【一回クリアする時代】DXは何のため

社会 経済

デジタル化というと、どうしてもPCとネットをどう使うかみたいな話が多くなりがちなんです。
この道具をどう使うとかの話は大事なんですが、その先を速く進むことが必要なんだと、昨日のセミナー講義を聞いて認識を新たにしました。

今こそ企業は誤解なく進むのが良い

competition DXレポートについて以前に少々書きました(リンク)。2018年に書かれたレポートですが、今の日本経済、日本企業の人々が本気で今取り組むべきことが具体的に描いてあると改めて認識するに至りました。

ただどうも思うように進んでなかったようで、そこにコロナ禍で経営に大きな影響が有ったため、道具としてのデジタル化がDXなんだと誤解してしまう経営者も多いのではないかと思います。

そもそも企業にとってのDXの定義になっていることですが、競争上の優位性を確立することとされています。

そのためには、ネットとリアルの両面で新しい価値を創り出すことが必要となるため、デジタルツールはもちろん、システム装備や開発手法なども、まぁ簡単に言えば今までのやり方ではダメということなんだと思います。

情報共有や効率アップのための仕組みを社内に装備するのは当然として、それが有って初めて得られる高速なフィードバックや改善を高速で回せる集団だけが生き残っていける時代になったということですね。

リスト消失の危機

drone
GAFAや中国のデジタル企業の快進撃が続いていますが、このDXを仕掛ける側の企業としては、日本企業は大きな遅れをとってしまいました。
国民性や行政面・法律面などいろんな原因が有ったとは思いますが、結果としては残念ながらグローバル市場での競争力は相対的にガタ落ちしていまいました。

すべての産業で企業は顧客リストを持っていて、存続のための利益の源泉として大事にしているものだと思います。場合によっては死守しなければならないとも表現されるこのリストが、新興のデジタル企業に根こそぎ持っていかれるケースも想定する必要も有りそうです。

例えで一番わかりやすいと思った例が、クルマです。

自動車を作るのには鉄の加工やエンジンの研究開発・製造などなど、数え切れないほどの技術や企業が関わってやっとできるもので、人が運転することを前提としたモノとして1世紀以上続いてきました。

しかしこれからEV方式が主流になるだろうと考えると、クルマの位置づけとしては、走る機能も付いているUX(ユーザー体験)提供環境だと理解したほうが良さそうです。

世界中の現在の大手自動車メーカーですら、走るスマホというクルマ型をした体験提供機の部品供給者になってしまうかも知れないという時代ですね。

もう一段ぶっ飛んで、すでにタイヤの代わりにプロペラが付いた乗り物、人間が搭乗可能なドローン型のバイクまでお目見えする状況です。
高い技術も、生産性が良い製造ラインも、優秀な営業も評判の良いアフターサービスも、それはDXのなかに組み込まれてやっとその後の存続につながるのだということが重要だと説かれていたような気がします。

また、せっかく素晴らしいモノやサービスを作っても、これからは最終受益者にデジタルの超高効率で届ける仕組みになっていなければ、価値が認識されるに至らないとも言えそうです。いいものを作ることは、もう皆できてしまうので。

いまこそ年齢や経験で決まる

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ともあれDXを国レベル、企業レベルで進めるのには、周到な計画と用意をしてとりかかると考えがちですが、それ自体もかなり危険でしょう。

最初に明らかにしておくべき目標に向かって、まずは実際に踏み出すことが必要で、考えているうちに競争相手が動いて結果を出していたら既に遅れた分の負けが確定となる状態なんだと理解するべきですかね。

こんな状況の時に決定的にヤバい会社が有るとすれば、過去に大きな成功をしたことのある高齢の経営層が幅を効かせている会社じゃないでしょうか。

2,30年前の常識がまだ通じると錯覚してしまう可能性が高い年齢層の経営者は、正直どうしていいかわからない人が多いんじゃないかと思います。

単に勉強不足ならまだマシですが、精神論がまかり通っていた時代を思い出し、一歩をとりあえず踏み出してみようとする若者のチャレンジを応援しないとか、必要な事業環境を用意しないことが経営者に目立つようになれば、DXどころではなくなりますね。

日本の産業、一回仕切り直し!という雰囲気をまずは政府主導で作ってもらうのもいいかななどと思っていますが。