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これは賢い!【REEオートモーティブ】

イスラエル クルマ 乗り物 技術

クルマの世話になる社会はこれからも続き、電動化まっしぐらの様相となっていますね。

REE Automotiveが紹介されていましたので情報を見てみたら、これは賢い!と思いましたので、少々しらべてみました。

 

クルマから進化してオートモーティブ

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日本では脱炭素社会への施策の一つに、エンジンを積んでいる車両の電動化を進めているところです。電動化の流れは日本でも早くから起こっていましたが、インフラ整備やコストの面での悩みが多く、世界にコンセプトも製造も先を越されてしまっている感じではあります。

特にこのところ印象的なのは、テスラと中国勢によるEV攻勢ですね。日本ではEVだけが電動車じゃないとして、HV(ハイブリッド)やPHEV(PHV:プラグインハイブリッド)のモデルも含めた戦略を進めているところで、始めから完全EVの方向に進んできています。

さらに市場でもショッキングだったのは、2021年2月17に突如、Teslaのウェブサイト上のモデル3(Tesla Model 3)の価格をしれっと80万円以上の大幅値下げをしたことです。これは技術というよりマーケティングの話題になりますね。

そもそもwebでクルマ売るとか、特にニュースリリースなどのアナウンス無しに値下げだなんてすごい変わりようです。高価な買い物では有るけど、もはや自動車というカテゴリをはずれてしまってます。

こういうEV関連の出来事が頻繁なことに驚いていたら、技術の面で特に目をみはるべき会社が表に出てきました。

REE Automotive(リー・オートモーティブ)は、イスラエルのテルアビブ発の会社で、このオートモーティブ産業に参入したベンチャー企業です。それがなんとNASDAQに上場するということで、期待が高まっています。

 

発想の転換が得意なイスラエル

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イスラエルというと、日本の報道の影響なのでしょうか、どうしても治安が悪いとか、エルサレムと砂漠と死海の観光くらいしか思い浮かばない人が多いかも知れません。

ところが実は起業家が多く、世界の最先端技術が次々と生まれる環境になる国で、一人あたり名目GDPでも日本を抜いているような先進国なのです。地中海を臨む街テルアビブは、投資家・起業家や、特にIT系など技術スタートアップ企業が集まるハイテクタウンとなっています。

国全体でみても、第三次産業のそれも通信、コンピューター、医療、エレクトロニクスに関連する分野が突出しているのが特徴で、いかに時流をとらえた最先端を行っている国なのかが感じられます。ユダヤ人が多い国が、国策として技術立国を応援しているというのも、起業を後押ししています。

イスラエルの産業別GDP構成比 (世界経済のネタ帳より)

https://ecodb.net/country/IL/economy/

 

世界の社会を技術で変えることに超アグレッシブ。人柄といえば議論や衝突は年がら年中、周辺国との関係性は距離も近いし政治的に難しい関係などなど、ともかく頭脳をフル回転できる環境に有ると思います。

それでもプライベートな時間も大事にして生活の充実を最優先に考える文化も相まって、世界じゅうの人に共通した生活を改善したり、新しい社会構造を創造していくことを考えるのには最適な土壌だと言えます。

REE Automotive社の洗練されたwebサイトを見ると、ともかくこの会社は何をしてくれるのかがひと目でわかります。というか、わかるようなきがします。

クルマは重くて大きくて複雑なものという観念から、移動のための部分はシンプルであるほど良いという直感にシフトしてさせてくれます。

自動車会社であれば自動車を用途に応じて設計製造する必要が有りました。REEの提供する技術とプラットフォームの説明ページは特にすばらしいと思います。

REEcornerという名の単なるタイヤに見えるユニットがその心臓部です。それがREEboardと呼ばれるバッテリーや燃料電池を積むスペースに取り付けられて、もう自走できる状態になるのです。見た目、超シンプルです!

また、鍵となる制御方式がx-by-wire(バイワイヤ)です。こちらのサイトが詳説してくれていますが、実はもういま走っている自動車にも取り入れられている方式です。単なる機械式でなく、間に一回ソフトウェアをかませることができることで、イスラエルハイテクの得意とするソフトウェア技術の出番となります。

現在の自動車に必ず付いている、エンジンとその力を変換しながら伝達する機構や、ハンドル・ブレーキなどの機構がほとんどありませんね。ショッキングなほど無いんです。

センサーとソフトウェアのかたまりなので、走行中のデータを取りまくってメンテナンスのタイミングに活かしたり、故障したらユニットごと1時間で交換できるらしい。動く部品が少ないので、壊れるところが少なくなるのは明らかでしょうし、良いことづくめな感じはします。

アクセル・ブレーキ・ステアリング(操舵)の重要なコントロールを、人間とマシンの間にAIソフトが入り制御するということをやるわけです。そしてそれらを全部自動で制御するクルマが街中を走るようになると。結構すぐに実現できそうなところまで、絵が見えてきましたよね。

クルマ、というかもっと広義のモビリティに求められる要件は無限の組み合わせとなります。人間が経験と勘で処理していた多くを、AIも含むソフトウェアで制御していくことは、非常に付加価値が高いですから、ビジネスとしても期待できます。

動く部分ができあがってしまっていて、その上に必要なハウジングをかぶせるだけという考え方ができますから、既存の自動車メーカーにも恩恵が有りそうですし、もうすでに自動車ではないという味方をすれば、家電や機械メーカーでさえも、自動車メーカーにすぐなり得るベースになります。

 

シンプルな社名とロゴ

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ただ、イスラエルにも比較的不得意な部分があり、それは主に機械部分です。もとから世界中とのコラボレーションをイメージできる人たちですから、そこはモノづくり日本の出番ですね。

連携している会社の中にはHINO, KYB, NSK, MUSASHIなど、日本でも有数のメカに強い会社がすでに加わっています。

REEがベース車両として提供するラインナップを観てみると、最大のP7は7トンまで積めるということです。乗用車以上の貨物やバスなどの需要に耐えられるところが、すでに用意されているところにも驚きます。メカとソフト、日本とイスラエルの合作が今後世界中を走るベースとなることを応援したいと思います。

そしてさらに、REEはNASDAQに上場するとリリースされました。ベンチャーキャピタルの10X Capital Venture Acquisition Corp (NASDAQコード: VCVCU)との合併により、コード:REEでまもなく上場するとのことです。

7000億ドルとも言われるe-モビリティー市場に打って出る重要な役割をになる企業となることでしょう。

あと関係ありそうだなと感じたのは、REEにしろTESLAにしろ、そして上に書いたREEとコラボしている日本の企業名にしろ、短めの英語大文字の社名ですね。(あ、MUSASHIは日本語だと三文字ですがちょっと長い。。。)

社名も社名ロゴもシンプル、やることは壮大でテクノロジーはつまりまくってるけど製品はシンプル(に見える)。

これからのビジネスや製品、そして生活のキーワードには、シンプルが間違いなく入ってくることでしょうね。