役職を一回クリア【富士通のやりかた】
DXを意識した部門運営や能力開発などにふれる機会が増えてきました。
もとからIT、デジタル分野を生業とする企業では、人事制度も大胆な施策を行うことで知られていますが、いよいよホントにジョブ型雇用の波が来たかもしれません。
富士通の人事改革
ジョブ型雇用が日本でも進むだろうと先日書きましたが、富士通やNECでは、巨大企業であることとデジタル業界であるということから、毎年のように1000人単位以上での社員の大規模異動が定常的に起こっています。→富士通とNECの構造改革と人員再配置の歴史
技術や市場の変化が、伝統的なモノづくり企業に比べて猛烈に早く変化するということから、そのような対応をせざるを得ないという事情でしょう。
ただ、日本国内の労働者を守る法律的な制限や、なによりも日本的終身雇用の文化が根強く残っていることから、人材確保や雇用システムが他業種に引っ張られてしまっている実情も有ると思います。いわゆる新卒の学生たちにとっては、他の多くの大企業も含めて比較しながら、入社希望の各社を決めていくプロセスを踏みますので。
コロナでDXが叫ばれる状況になり、日本での終身雇用が終焉だとか、ジョブ型雇用が進むとかが急に言われるようになりました。しかし実際にそのシステムを採用して実施しているという話をほとんど聞かないなと思ってたところに、今回の富士通の情報が入ってきました。
日経テックのこの情報では、IT部門の幹部ポストをなんと4割減らすことになったと報じています。さらに本部長クラスのポストについてはポスティング制、つまり立候補して登用してもらうよう、本人が働きかけなけれならないということで、応募期間は2週間もなかった模様です。
終わりの始まりか
これはもう、日本型、つまり枝葉型の組織図の終わりの始まりという印象です。
変化に迅速に対応し、結果を残すことができる人だけが、重要ポストの値札をゲットできるという、完全欧米型とも言える仕組みに変えたんだと思います。
デジタル業界だから対岸の火事だと言っていたような伝統的企業でも、今の雰囲気では一気に同じような最適化と称する合理化が、なだれのように起こってくるかもしれませんね。
ともかく高度経済成長は終わっているのに、当時に作り上げた仕組みだけが残ってしまっている会社が多すぎます。それだけが原因とは言えませんが、経営効率が低い日本企業に勤める社員の給料は、他国の伸び率比較で大きく劣ってしまっていることに、みんな気が付き始めました。
気がついた後に進んでいるのは、学生でも転職でも、自己投資と理論・技術武装、それとITを使った情報共有でしょう。
教育・訓練・情報共有がカギ
用意された回答を素早く皆と同じように出せるようにする教育のものでいい成績をとり、大企業で保証された終身雇用でキャリアと収入を築くというストーリーは、もうあり得ないんだという雰囲気を感じます。
それじゃだめじゃんとなれば、学校に行かずに人より先に動画レクチャーでも専門講座でも受けつつ、先に実業を身につける人も増えてくるでしょうね。学校に行く時間に、自分の将来に投資する勉強や訓練をしたほうが良いと解く人や、それを受けて未成年から起業する人も表面化してきています。
がんばって大企業に入って、時と共に重要なポストにやっと登りつめたとおもったら、今回のような大改革が待ってるわけですね。伸びているIT業界ですらこれはもう、世界の流れで戦う企業ですから止められません。変わり続けられる人だけが、その先の景色を見られるように全員シフト中ですね。
大企業でさえも存続のためには、組織の新陳代謝を今までより短いスパンで回す必要があり、技術と共に効率化が進むので、身の回りや国内の仕事量は減っていく一方なんじゃないでしょうか。
それと同時に、新しい生き方を考え始める人も増えていると思います。時間だけは万人に平等に与えられていますから、生きてる間の自分の時間の価値を決めることが、まさに人生そのものだということです。
ますます企業人として生き延びていくには、継続努力が必要となる世の仕組みになってきたと同時に、日本式サラリーマンで長時間過ごす風習は終わるんじゃないかと、今回のニュースから感じた日でした。