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国がコロナのワクチンで賠償

技術 社会

コロナウイルス対策として待ち望まれているワクチン。全世界で開発競争になっていますが、利用する側としては、各国あげての争奪合戦になっているようです。

さすがに今回は、世界規模の需給というのを考えさせられることになっているんだなと、身近なニュースからも感じるところです。
そんな中、なにやら国が責任を取るという話題が入ってきたので意外だなと思い、情報を見てみました。

ワクチンは何種類も開発中

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いまのところ日本政府が調達を検討しているワクチンは、数社からを考えているようです。完成が早いと思われる順に5社程度とのことです。

  • (英)アストラゼネカ+オックスフォード大学
  • (米,独)ファイザー+ビオンテック
  • (米)モデルナ
  • (日)アンジェス
  • (日)塩野義製薬

これらは今年か来年にはなんとかメドがつきそうだと思われる企業・国です。ワクチンは、医薬品の一種であることからその開発には通常長い年月がかけられ、10年程度の場合が多いと聞きますが、早いタイミングですよね。

ただ今回のコロナの場合はその影響が大きすぎるため、超巨額の国家資金が注ぎ込まれ、超高速の開発合戦になっているのですね。
相当慎重に動物実験や人での治験データを積み上げなければならないところを大急ぎでやるわけですから、 薬につきものの副作用や、ひいては重篤な後遺症などについては検証しきれないケースが出てくると想定されています。

ワクチンのリスクを国家がとる

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そこで諸外国では、もしリリースを国家が認めてそのワクチンで健康被害が出た場合、国家がその賠償補償をするという法律が定められています。

これにより製薬会社は、いわゆる不十分な検証の段階であっても、未完成または不完全なワクチンを市場に売り出すという決断が早められるようになります。

実はこの手の法律は、2009年に日本で新型インフルのワクチンを輸入した時に、供給会社に対しての補償を行う法律、特別措置法を整備していたことがあります。その後時を経て2016年に失効していました。

この背景を受けて、日本としても早くワクチンを確保するために、次期国会で法律化する方向だということです。

なるほど、ウイルスも謎ならば、ワクチンも謎ですから、考えられる手はいくつも繰り出しておかねばならないでしょうし、需要と供給の関係からは、国力がモノを言うのも確かでしょうね。

人工抗体とワクチン

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ウイルスのような病気のもととなる抗原に対し、人の能力によって体内に免疫が作られた場合には、抗体が存在するようになります。
そもそもワクチンというは、この抗体を直接注射などにより体内に注入し、抗原が体内に侵入した時にはこれに取り付いて不活化、そして発病には至らないとするという原理です。

そんな中、人工抗体という単語を聞きました。下記の番組で聞きましたが、なにかコロナ対策での可能性が拡がる感じがしました。ちなみに、そうそうたるメンバーのディスカッションでしたね。

WEEKLY OCHIAI シーズン4 新型コロナ”収束のシナリオ”(2020/08/19)
https://newspicks.com/movie-series/28?movieId=839

人工抗体というのはどうやら、試験管内で迅速に合成できる技術が開発されているようで、ウイルスを囲い込んでしまう外枠の鋳型部分を大量に合成するという発想のものです。

人工抗体は抗体医薬品と呼ばれていますが、体内に入ってからの効果について、ワクチンは永続的に免疫を得ることができるのに対し、人工抗体は長期的に病気を防ぐことはできない(半減期が2週間とか)。そのかわり、体の感染状態から即座にウイルスを撃退したり、迫ってくる感染を予防できる効果はあります。人を安心させるという意味では、期待したいですね。

ここでも要は、「筋の良い」抗体というものがまずは必要で、そしてそれをどう工業的に超大量に製造するかという戦いが、しばらく続きそうです。