スーパーシティ法
スーパーシティ構想という取り組みがあります。
街・地域規模で多様な新技術を導入し、これまでに無かった新しいサービスを創り出していって、人々の暮らしを豊かにしましょうという考えです。まるごと未来都市を作ると表現され、理想とする未来の生活を実現しようというわけです。
これを進めるための法律を改正国家戦略特区法(スーパーシティ法)と言いますが、これが先日2020年5月27日に衆院で可決されました。
街や都市を作ろうというだけに、技術だけでなく制度なども相当広範囲の法整備が必要だということでしょう。
この法律により、作ろうとする仕組みの長は、従来の法律では決めるのに時間の掛かっていた事柄も、強大な権力をもってすばやく進めていくことができるということです。
スーパーシティは世界で進む
実はスーパーシティは海外で展開されていて、欧米複数国に加え、中国・シンガポール・韓国などのアジア勢ですでに実績となっています。
もとは「スマートシティ」構想として、海外各国を始め、日本でも実施例が進んでいます。スーパーシティに比べると範囲や分野が広くカバーされていない「感じ」もしますが、動機や進め方は相当似ていると思います。
いずれにせよSDGsに準拠することは前提となっているし法律との連携も含んでいるので、一般市民の素人である私には違いははっきりはわかりません。スーパーシティではどうやら、より広範囲・広いジャンルを包含した上で、2030年頃の未来理想都市、いわばミニ独立国家レベルのものを早く実現しようとしている模様です。
地方創生も目的と書いてあります。国・自治体・民間企業が一緒になって小さい国を作るなんて、結構壮大ですなぁ。
生活に関係する事柄を広範囲にカバーするということですが、まず最初に思い浮かぶ分野としては交通・移動手段に関連する分野です。
自動運転や信号の制御、駐車場や各種公共交通との乗り入れ、車両のシェアリングなど、ありとあらゆるICT(情報通信技術)を駆使してはじめて実現できるレベルのものです。
広範囲
さらに、都市インフラと思われるすべてが対象になり得るわけで、電気・水道・ガスなどのエネルギー、行政サービスや手続き、医療・介護、購買・決済、防災、輸送、観光、環境対策、そして教育にまで、いわゆるスマート○○○的なインフラやサービスを作り上げていくことがデザインされ、実現が期待されていきます。
そうした時に今までの法律では、技術などの分野ごとに適用される法律がバラバラだったりして多くの労力と時間が掛かっていたところを、規制緩和や特認という形でスピードアップを図ることができるという公算です。
あらゆる機器に取り付けられたセンサーから得られるデータを、ネットワークを通してリアルタイムにビッグデータとして溜め込み、加工して利用するということが高度に進んで行くことでしょう。
都市インフラを支える基本データ、例えば地図地形・建物設備・エネルギー・交通などのデータを所有している人は、この仕組にデータ提供し活用されることはチャンスになるんじゃないでしょうか。
データを握られるリスクも
こういう新しい考えや技術を導入するということに抵抗のある人も多いようです。
アナログな人手では到底太刀打ちできない範囲や量のデータを取り扱うことが前提なので、やはり個人情報の流出によるプライバシーの侵害など、いろんな可能性が出てくることが懸念されます。処理はコンピュータで行うものの、それを作り上げるのは人なわけですから、相当に堅牢なセキュリティを確保してもらいたいものです。
データの活用面では、しっかりした一元管理と、データを有効活用するための仕組みの両立が前提です。このデータベースと利用者の両方を取り持つ役割を、行政レベルでの整備事業で行うとのことです。ここにも相当な資金が注ぎ込まれると思いますが、当然経済の活性化も期待されます。
ビッグデータ解析や、AIも相当利用されるということから、政府に権力が集中することも予想され、民主主義の精神に反するとの意見も出ているようです。
まぁ、この構想を支えるのは新しい技術ばかりなので、馴染みがない人が反対するのは自然だと思います。
データやプライバシー保護と利用のしやすさは相反関係にありそうですが、いかにそのやり方について透明性を保って情報公開しながら進めてもらうことが肝だと思います。
地方創生のチャンスでは?
せっかく特区というそれなりに小さそうな範囲で国みたいな区域を作ろうとしているのなら、何か今までに無い「おもしろい」特区や、その特区だけで特別許認可となるギャンプルとかではない全くの新ジャンルでも開発してほしいです。
相当先進的でユニークなリーダーも必要でしょうけど、ネット民とかからは将来が長い若手で立候補できる人、多いんじゃないでしょうか。
スマートを超越してスーパーシティですから、それこそ速攻でどんどん進んで行くことを優先するべきでしょう。
しかし、GAFA並の各種技術やコンセプトを持った「日本人」が、一丸となってこのミニ独立国家並みのモノを作り上げるというのは、失われた20年の間に流失したり、育つはずだったけど日本の慣習とやらに杭を打たれてしまっている人材をこの仕組に呼び戻すということが必要でしょうから、時間もお金も掛かりそうです。
多くの人に魅力を
人気が得られる特区が目立ってくれば、人々はおのずから支持し、移住したり勤めたりして盛り上がっていくんじゃないかなと思っています。平地が少ない日本ですが、どこかそれなりに空いている土地とか無いですかね?
法整備だけではもちろん進まず、資金やサポート民の存在がスピードアップのためには必須でしょう。起業のように、株式で資金を集めるとかの方式とかは採れないんでしょうか。
しばらく追いかけていきたい、おもしろそうな分野です。