自販機オペレータ不足
おなじみ自動販売機。日本では有って当たり前で、ほぼ社会インフラの一つと言っていいでしょう。
利用者としては生活の一部になっている自販機ですが、それを支える企業側の事情にはあまりご存じないのではないでしょうか。
その過半数を占める飲料の自販機市場では、人手不足が深刻化しているそうです。
自販機市場は縮小中
長く続くデフレの影響でしょうか、コンビニでも飲料の値下げや、もともと相当に安いプライベーブランドなどが揃えられています。少しでも安い方をという人は、コンビニで飲料は買うようになりましたね。
あと、スーパーやドラッグストアでも、有名ブランドの飲料が相当に安く販売されている様子を見ると、自販機は苦戦しているだろうなと想像していました。
自販機の楽屋裏は相当過酷
小売業の一つに自販機というジャンルが有るわけですが、販売業務を支える仕事は過酷なようです。
他の店舗と同じく、自販機という機械は、ある面積の土地の上で営業するミニ店舗と言えるわけで、無人で24時間販売ができ、基本は定価販売がまかり通るということから利益率が良く、出店というか設置合戦が続きました。
ところが市場の変化から2000年頃をピークにずっと減少が続いているのですが、特に過酷なのは、自販機の中で最も台数の多い、飲料自販機オペレータの仕事内容です。
なにせ売るのが飲料ですから重い。台数が多く分散しているが必ず現地に出向かなければならない。客に便利なところには、往々にしてアクセスしにくい。
買う人は飲みたい時に一本買うだけなので気楽ですが、くべるほうはいっぺんに大量に運んでいって装填しなければならないし、売上の現金も回収したり記録したり照合したりそれが合わなかったり、もう体力的にも精神的にも過酷です。
で、飲料がよく売れる時期というのはだいたい暑いか寒いかの過酷な季節ですから、品切れにならないように指定された自販機に補充するため、一日に20ヶ所以上も回ることが有る。充填は手作業なので、結局一日中重いモノを運んだり扱ったりしている状態。さらに併設のゴミ箱のメンテや売上管理、そして現場を回るための車両の運転と、聞いただけで気が遠くなります。
飲料メーカーにとってはオイシイ事業である自販機ビジネスですが、こういう現場を支えるオペレータが今後同じような待遇で増えていくとは到底思えません。ぜひ労働環境改善を進めてもらいたい分野です。
技術進歩とインフラ
他の小売業も同じだと思いますが、現金の取り扱いというのは事業コストを上昇させます。
もともと無人で販売することから利益率が良い仕組みなので、販売も電子マネーだけで完結するようになれば良いと思います。
先日JRの駅でふと見たら、Suicaのみ使用可能なマシンが置かれていて、全て通常価格から5円引きのようでしたが、増えてきてるんでしょうか。
また自販機は今はかなりIT化されていて、ビッグデータのハブとしての機能としても期待されている面もあります。
自販機の前についているカメラで、購入者の性別・年齢などもデータで取れるようになり、社会データとしての活用は今後楽しみです。
さらに最近出てきたのが、災害対策自販機です。大地震など、一定以上の災害時には救援物資飲料としての無料開放を行うという仕組みです。この域になると、社会インフラとしての役割を果たそうとしている企業努力ですね。
生きてる以上は喉が乾くので飲料ニーズは続きます。それを支える業界がどうやって飲みたい時にユーザに飲料を提供するかという命題に究極に応えたのが自販機だと思います。
こればっかりはリアルな物流が必ず伴うジャンルになりますが、次世代システムでオペレータたちを救うような仕組みができないものでしょうか。