文化・行動と密接【スーツ業界】
文化と産業が密接に関わり合ってることは明らかなわけですが、ずっと同じ国や業界に居ると気が付かないことがホントに多い事を思い出しています。
紳士服業界が苦境
紳士服の青山、コナカ、AOKI、はるやまあたりが思い浮かびますが、まぁいままでスーツにいくら使ってきたか。
サラリーマンのスーツというと、あたかも制服のごとく皆当たり前のように会社に着て通ってました。
実は入社した当初からこのスーツを着る文化には馴染めなかったんですが、結局そういう職場で働く事が当たり前になってしまったことも確かです。
以前に少々書いたりしましたが、没個性が特徴とも言える日本の仕事着としてのスーツですが、元はイギリスやイタリアなどで着られていたものが回りまわって日本に入ってきたものです。
誰が決めたかわかりませんが、仕事するときの正装のような感じに仕立てられて、それを支える業界も事業を展開することができてきたわけです。
そしてコロナのパンデミックで大変な状況になりました。スーツを切る機会が激減してしまって、売上激減につき紳士服業界のビジネスがまるで成り立たなくなってしまったのです。気になる記事も目にするようになりました。
各社雇用の削減や、たとえばレンタル事業などへの事業転換を余儀なくされています。これからDXが更に進んでいくとなると、平時に戻ったとしても、スーツの必要性そのものを見直す人が増えたため、元の市場が戻ってくることを期待するのは難しいでしょう。
そもそも熱帯でスーツ?
日本の夏は激アツです。スーツにネクタイでさらりと仕事をするような、乾燥した欧州の環境とはまるで違います。
真夏の東京や大阪の暑さはいまや、赤道直下のシンガポールより絶対に暑いです。
ということで近年は熱中症予防の観点から、政府も後押ししながらクールビズが推進されました。それでも同調圧力甚だしい日本文化のせいで、営業職をはじめとする接客系の社員にスーツ着用を強要していた会社が多かったのが実情ですよね。
最近でこそ、特に意味もなくスーツにネクタイで社員を働かせてる会社はパワハラの傾向を感じてしまいますし、そもそもダサいですよね。
スーツにノータイあたりならまぁいいとして、ビジネスカジュアルとかいう用語がそろそろ無くなるのかなというところまできました。
工場などでは、動きやすさや安全性の観点から作業着を着なければならないとしているのはわかりますが、オフィスで働くのに服装の規定を設けるのであれば、工場並みに会社負担で制服を支給すべきです。まぁ無理でしょうけど。
逆にDXが進めばオフィスに通う必要性が激減しますし、仕事のパフォーマンスを図る指標は服装では無く結果にシフトしていくことでしょう。
服装やスーツは文化そのもの
リアルに会う人との機会が少なくなってくれば、いかに会う相手に自分を見せるかの分野全部に影響がありますね。
身近なところではまず洋服・服飾関連はもちろん、化粧品全般や、理容・美容室、クリーニングなど、大きく落ち込んでいます。逆に考えるとこの分野は、普通に人と会える環境で成り立っている業界ですね。
外出・出勤しても、食事の時以外は一日中マスクしてすごしたりしているので、無精髭ボーボーでもほとんど気付かれなかったりします。
一方上半身映像が重要になったりして、YouTubeやリモート商談などのためのカメラや照明などの撮影関連市場が活況になったりしています。
技術の進歩も相まって、生活パターンの大きな変化が、そのまま市場の変化に影響してるということですね。スーツや通勤という単語は、就活時の会社選定の際にはネガティブワードにもなっていくんじゃないでしょうか。
スーツやネクタイなど、平時に戻ったとしても元の市場に戻るとは考えにくいので、スーツ各社の多角化はまだまだ進んでいくことでしょう。