モノではなく体験を売る時代
前に読んだアフターデジタルでは、今後結構すぐにオンラインのデジタル世界が、今の現実であるオフラインの世界を包み込んでしまうと解説しています。
考えてみたら、自分が暮らしている日常の行動も少しずつ、でも確実にこの世界に足を踏み込んでいるんだなと実感しています。
いろんなモノが欲しかったのは確か
高度成長時代には日本はモノ作り大国として、世界に通じる実力を付けながら、次々と良いものを作れるようになりました。
最初に私が興味を持ったのはカメラでした。白黒のフィルムカメラで、ハーフというタイプだと縦長の写真がフィルム表記の倍の枚数が撮れるというお得感が好きだったですね。
その後はご多分にもれず、モノ消費の人生を歩むことになります。
ギア付きのサイクリング車、BCL用のラジオ、無線機、ステレオ、カセットデッキ、楽器、バイク、ビデオ、クルマ、PC、ゲーム機、デジカメ、スキー、キャンプグッズ、カーナビ、ガラケー、スマホなどなど。ほぼ生活必需品じゃ「ない」ものばっかり、よくまぁ繰り返し買った(買ってもらったw)なと思える消費をしてきました。
この辺のハードウェアは、その時その時に、その製品が欲しいなと思えるようなタイミングで出されたもので、日本製が本当に優秀だと感じて繰り返し買ったものです。
製品リリースのたびに相当な技術と企業努力が注がれての結果だったんだと思いますし、満足度は総じて高かった印象を持ちました。
モノはコトのために
これを振り返ってみると、日頃の生活の中でハードウェアを買ってきたことは、コトを楽しむために揃えてきたものであったとも言えます。
移動をして何かを楽しむため、音楽のため、人との交流のためと、実は今で言うUX(ユーザーのとっての体験)を得るために買っていたと理解できます。
バイクのようにモノ自体を楽しむ要素が大きいものもありますが、機能やその先の体験・思い出・印象なんてものを無意識に欲してたんですね。
いやー、いまごろ気が付きましたねぇ。
高品質なモノは当たり前で、その先にあるUX充実のためのモノである必要があるという時代になりました。
繰り返しそれを実現していくためには、広範囲・タイムリーに集められたデジタルデータに基づいた差別化が必須です。
そして、オフライン場面などでは、その先の日本らしい心遣いといったもので味付けをしていくことになるでしょう。
モノとコトのセットが百貨店
物があふれた最近では、額に汗して作られたモノを売り続けることでは限界が見えてきました。
百貨店の業績不振や閉店の話もよく聞くようになっていますが、b8taと書いてベータと読むサンフランシスコの会社が、日本に活動を広げたとのことです。
このb8taは体験型ショップという、いかに来訪者にUXを高めてもらうかという観点でデザインされたショールームのような店舗で、出品各社は店内の展示販売スペースを曲がりする形式です。
店内にはたくさんのカメラやセンサーが装備され、来店客の行動を詳細なデジタルデータとして記録します。
この分野では販売スペースなどのデザインや、購買行動のデータ分析などを手掛けてきた凸版印刷も協業しているそうです。
これ、RaaS:リテール・アズ・ア・サービスというらしいですが、新分野が日本に上陸したことで、日本からもこの分野で伸びる企業がでてきて欲しいところですね。