【本気度は?】ガソリン車禁止へ
なんとガソリン車の新車販売が無くなるらしいですね。2030年年代なかばに新車の電動率100%にするとのことですが、実現にまでそんなにかかって大丈夫でしょうか。
地球温暖化防止のためというのが、我々にもわかりやすい理由ですが、これからエンジン車はどうなっていくんでしょうか。例によって雑感になりますが感じたことなどを少々。
自粛もそうだが経済が大事
資本主義経済の中でしばらく生きてますので、日本でもこれが空気のように当たり前の世の中になっています。
その結果もあり世界の人口が増え、経済活動が活性化してこれは良いことだ、というわけですが、その結果としてどうしても作ったり動いた分だけエネルギーが必要で、その大元は太陽エネルギーだったものをいろんな形に変えて我々の生活に使っているわけです。
で、人間すらも呼吸することで排出するCO2(二酸化炭素)に代表される温室効果ガスが目の敵にされているわけでして、この排出を抑えないと気温が上がって人間が地球に住めなくなるぞと叫ばれ始めてから結構久しくなりました。
というわけでまぁ脱炭素でのエネルギー利用を目指しておけば、温暖化を抑えることができるという理屈が我々には届いていることと思います。
それをどうやってやるかは、今の地球上ではそれぞれの国や地域が足並みを揃えないとどうにもならんわけですが、当然それぞれの国での独自の事情がからむので、一筋縄にはいきません。
日本という自動車産業大国では、自動車産業を支えている多くの会社からなる経済集団が、日本でも世界でも大々的に展開することで成り立っている経済活動の、流れを止めてしまうことは避けたい!と思っていることでしょう。
でも世界のEV化の急激な支持という動きが大きすぎて、クルマの世界では日本は遅れてしまったんではないかと感じています。経済を止めてしまってはマズイという配慮からではないでしょうか。
自動車産業の構造って
陸上を走り回る自動車は、その用途やサイズで駆動方式が相当違ってきます。小型乗用車程度であっても、人を安全快適に乗せるのには1トン前後もある車体を走らせる必要があるので、それなりの大きな動力を持続させるだけのエネルギーを蓄えて走行する必要があります。
何らかの形でエネルギーを携えて走る必要があると考えると、現実的に一番手っ取り早いのが石油系、つまり炭素フリーではない液体燃料を使って、エンジン内部での爆発・燃焼によるエネルギーを回転エネルギーにする方法です。
手っ取り早いとはいえ、エンジンの歴史は長く、世界中の相当高度な技術陣による開発の成果が実を結んだおかげで、今日の自動車エンジンが出来上がっているわけです。
ということで、エンジン開発の技術だけでなく、自動車に必要なエンジンを含むすべての部品の製造供給について無数の会社が産業のピラミッド構造で成り立っています。
石油エネルギーを、なんとかして多数の技術でクルマを動かすまでの大きな力を生み出すまで、変換をするしくみを作ることに命をかけてきたんですね。
で、その方式がバッテリーとモーターという、内燃機関のエンジンからするとむちゃくちゃシンプルな系に置き換わってしまったのです。
これはバッテリーの開発が進み、どこかよそで作った電気を、クルマを動かせる程度にまで実用レベルで持ち運ぶことができるようになったからですね。
簡単に言ってしまうと、優秀なバッテリーとモーターがあれば、エンジンは不要になるわけです。でも急にやると産業が潰れる。ではどのくらい引き伸ばしますか?という問いかけが世界からされているということなんだと思います。
日産自動車はLeafなどEVで先を行っていますが、レポートを見ると2020年の10月までの販売台数では、世界の10位にも入っていません。どれだけアメリカ、中国、欧州勢が力を入れているかがわかりますが、もちろん日本の国策も影響していることでしょう。
資本主義経済なんだけども、国家が許認可をコントロールしている以上は、何をどの期間守るのかは政府の裁量にかかっているので。
エネルギーのそもそも論から
経産省資源エネルギー庁から出ている資料を見てたんですが、地球に降り注ぐ太陽エネルギーというのは、地球に到達する総エネルギーからいろいろとさえぎられてしまう分を差し引いて、1平米あたり約1Kw(キロワット)だそうです。
それが超絶に長い時間を経て炭素系の中にエネルギーを定着・貯蔵されたものが化石燃料で、これを介して自動車に使ってたものが温暖化防止のためにダメだとなったら、それ以外を使うしか無いわけです。
水素をつかった燃料電池車が話題になることがありますが、これは燃料電池というより、水素を燃料とした発電機という方がわかりやすく、排ガスは水です。ただ、この水素を作る(というか、水から水素だけひっぱがす)のにエネルギーが必要で、そのエネルギーを化石燃料から作っていては世話ないわけです。変換工程が多くなるとそのロス分だけ余計にCO2が出ます。
ということで、太陽光・水力・風力・波力などの再生可能なエネルギーから水素を作ったり、バッテリーを充電する必要があります。
ただ残念なことにまだ再生可能エネルギーからの発電は、世界の需要に対し現在まだ10%を超えたあたりで、これから20年後の予想でも、今の倍にはならない見込みとのこと。
原子力も風当たりが強いというか、廃棄物問題の方が大きいので問題の先送りとなるので、結局は持続可能と言い難い。
そしてHV(ハイブリッド)車は、日本各社の技術の結晶であるとしてEVの部類として認められる方向らしいのですが、発電は車載のガソリンエネルギーでまかなう方式ですよね?今回ガソリン車を禁止すると聞こえてきているのは、ガソリンのみで走る車という定義のようです。
太陽から降り注ぐエネルギーを少しでも多く利用可能な形にすることが、生き延びていくための必要事項になりそうですが、さてどこまで現実的に取り込んでいくことができることか、相当に興味深いところです。
日本だけでも90万人以上が携わる自動車産業界ですが、エネルギー問題は時間のスパンが悠久過ぎるし、現実的には今のエンジンと下請けありきの構造をどうするかの舵取りひとつで、これからしばらくの日本の経済にも大きな影響が出てくることでしょう。