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過渡期を感じる【社員の営業車運転は望まれない?】

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会社に勤め、乗用車を運転して営業活動をしている社員は日本でも多いと思います。

会社の看板を背負っている業務上の運転について、会社ぐるみでルールの改善をすすめているのですが、何事も過渡期だと感じてしまうこの頃です。

 

運転技術を上げれば良いの?

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日本は小さな島国?いえいえ、クルマで移動してみれば、日本も結構広く大きいことが実感できますよね。

個人で生活するぶんにはそれほど毎日長距離を移動する必要が無い人も多いでしょうけど、それが事業活動となると取引先との行き来にクルマを使うということが当たり前のように行われています。人もモノも情報も、効率よく移動して交流しなければなりませんから。

一旦ハンドルを握るとなると、車両として同じ公道を一緒に走ることになるわけで、もう数え切れないくらいのルールに従いながら上手に運転する必要があるわけです。事故を起こさない、事故に遭わないことは誰もが願うことですので。

ただ通常の商談など、営業業務の移動のために運転する社員のドライバーとしてのレベルは、バス・タクシー・トラック、それに工事用車両や救急車などなどの、いわゆるプロドライバーの車両を運転するというレベルにまでは、訓練や管理がなされていないというのが現状です。

ではプロレベルにまで営業マンの運転技能を高めたら事故がゼロになるかと言えば、現状無理ですね。公道を走る以上、起きた事故のうち当方の責任ゼロのもらい事故の確率も意外と高く、もらい事故でも当方過失ゼロでないこともあります。

さて、どうしようかの議論が巻き起こったのでした。

 

社内免許制度?

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普通運転免許を受けていれば、乗用車を公道で運転することが許されていることまでは誰でも理解できます。それが社命により業務で運転する場合には、事情に合わせたそれぞれの会社のルールが定められてるのですが、これがなかなか浸透しないものなんですよね。

社員が移動に車両を運転することは当たり前、というスタートポイントだった割に、運転免許を取得させるために会社が協力するというわけでも無いわけです。

そして、業務で運転させる割には、会社が求める社員の安全や会社ブランドの保全などには、大胆な手が打たれてなかったようです。

事故の定義も多岐にわたり複雑なんですが、要は社員が運転していたかどうかで、事故かどうかが決められるなら、全て公共交通機関か、社外のプロの運転サービスによる移動のみにしてしまうという考え方も可能です。今の商流イメージでは到底コストに見合わないものとなってしまいますが。

そこでやはり考え方を変えていく必要が有るという結論に至り、運転機会自体を少なくすることと、運転するなら責任を明確化した上で社内免許制度のようなルールの制定に至ったのです。

言い方を変えると、絶対運転してはいけないというわけではないけど、極力誰かに運転してもらい業務をやりとげてね、ただし運転するなら、新しく決めたけっこう複雑なルールを全部クリアしてね、という感じです。

そのルールの入り口は、マークシートの筆記テストです。これで運転適性がわかり、数%の社員は教習所での技能見極めに移ります。

そのドライビングスクールでプロによる運転診断を受けて、全30項目程度のチェック項目ですべてがAかB判定とされれば、運転許可を出すことにしました。CとDが有ると、再訓練してからの再チャレンジとなります。

いままでこれをやってなかったというのが不思議なくらい、事故を起こす確率が高い運転者が一定確率で判明し、訓練または運転禁止の対応ができるようになりました。

社内免許というライセンスや証明書が発行されるわけではないのですが、社内では事実上必要とされる2つ目の免許のような位置付けになっています。

 

なぜ過渡期と感じるのか

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こういう新ルールをスタートさせてからしばらくして、新型コロナの影響で営業活動自体の見直しが進みました。

あまりに急激な社会活動の変化に戸惑っている暇も無く、DXの流れの緊急導入に慣れるのがまずは精一杯。出社もせず客先訪問もせずにいかに商談を今まで通り、今まで以上に進めていくのかを考えさせられるようになりました。結果副次効果として営業車に乗る頻度が激減し、事故も前年比半減以下となっています。

リースしていた営業車両も半減近くとなり、その分必要時にはカーシェアやレンタカーなどで凌ぐという形式になりましたが、運転者に求められる要件が変わるわけでは有りません。

にもかかわらず新入社員をはじめ、運動能力の高い若手でも、運転機会の激減により習熟度が上がるわけでもなく、個人でクルマを所有していない社員も増えています。業務で運転するための技能や考え方のトレーニング機会も激減してしまったワケですね。

一方、そろそろ本気で社員による公道での車両運転をやめる時に来ているのかもしれない、などと議論していながら、世界的にもこれからはMaaSにシフトしていくんでしょうね。公道を移動するのに、クルマを運転するより安全で安いサービスがでてくることでしょうから。

いやいやまだ日本ではそんな実情ではないよという意見が今はほとんどです。でも、思いの外DXを駆使した経営にシフトしないことには、経営効率が上がらないということもバレてしまっていますから。

移動や実際の面会の機会を減らすだけで、環境負荷は減るとのレポートもでてきています。

昔は自社の社員が運転していた時代もあったんだよなーなどと会話する未来は、そう遠くもないような気がするのですが。