ニッポン人として思う【楽天三木谷社長】
楽天の三木谷浩史会長兼社長の記事が朝日新聞によって紹介されていました。
世界も生活も激変し続けている今、とっても刺さる内容だと思いました。
英語と言うだけで身構える
この記事で述べられていた、英語による多様な人達との交流がなければ今の楽天にはつながっていなかったというところが、いたく納得できる部分です。
私の場合日本の典型的サラリーマンをやっていて久しいのですが、これから国際化・グローバル化が大事になってくるなどと、一昔前から社内では言われていました。
それが現実になっていく過程に携わらせてもらいながら、入社10年目くらいでイスラエルに住み始め、当時現地で受けたカルチャーショックを今頃思い出しています。
日本人は学校で10年も英語教育受けていて、なぜこんなに意思疎通がヘタなんだ?と言われているような気がしました。もちろん誰もそんな言い方もしないし、実は誰もそんなことは思ってなかったことも、すぐにわかったのですが。
実際、社内や生活まわりでの公用語はほとんどヘブライ語で、英語は外国語なわけです。小学4年以上くらいなら、国中でだいたい英語でのコミュニケーションに困りません。会議や日常であっても、私が会話の輪に入ったとたん、何人で話していても自然と英語にしてくれたりするのです。日本人コミュニティとはやりかたが全く違いますね。
さらに皆の家庭で使われている言語ですら2〜3国語という場合も有り、全部ネイティブレベルの人がぞろぞろいます。なので、英語も含め何語を話すのかということはほとんど話題に上がりません。
逆に日本で常識とされていそうな、海外の人が来たら英語で会話をしなければみたいな常識もなく、ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語・ルーマニア語あたりが通じる人同士は、そちらで会話するわけですが、共通項をさぐっていくとたまたま消去法で英語が通じやすくなるわけですね。外国語=英語というのは特に常識では無いわけです。
TOEICテストのことも誰も知らなかったし、なんでそんなの必要なの?と逆に不思議がられたりしましたね。言葉は大事だけど、お前が存在したいコミュニティで必要な言語くらい使えて当然だよね?というあたりが、共通の認識に近いかも知れません。
ともあれ勝手に解釈すると、三木谷社長のおっしゃりたいことには、英語くらいできないと日本発のビジネスマンとしてこれからの時代、困ることになるのでは?と社内英語公用語に踏み切ったということでしょう。
確かに英語は便利
日本語の文法、日本文化を受けてや敬語の言い回しなどが加味されていることもあるとは思いますが、主張や要求をはっきり表現するシチュエーションで日本語会話は向いていないようにも思えます。
仕事で使う英語もヘブライ語も、語調だけきいているとケンカ腰に聞こえることが多いですね。大声で怒鳴るように会話するとか、リアクションが大きいとかに圧倒されてしまうことも多々あります。
慣れればどうってことないんですが、逆に言われっぱなしで言い返すことができないと、なにも文句が無く全て良しと思われるか、なにも説明・主張できないのかと思われます。要は相手に伝わること、伝わったうえで納得・返答などをしてもらうことが目的です。
相手に失礼が無いように笑顔で会話するべきとか、物事は順序立てて常識をわきまえてビジネスマンらしく振る舞うべし、などの日本感覚が常識だと思ってましたが、ほとんど役に立ちませんでした。
おそらく仕事仲間も、生活シーンで関わっていた人たちも、シャイな日本人から主張や欲求をちゃんと表現・説明してほしいと思っていたことでしょうね。
ともかく仕事でもプライベートでも、ほとんどの人が「なぜ」ここで生きているのかがハッキリしているので、お金や言葉などの手段はあとづけなのであまりこだわらないのです。
英語が便利と思う理由は、現地語でコミュニケーションしようとして単語がその時に出てこない時に、英語に頼ることができるチャンスが多いということです。
グローバル化とトランスフォーメーション
デジタル化とかグローバル化とかいうレベルを超えてしまって、なにせトランスフォーメーションの時代となりました。それをデジタルツールでやろうっていうことですよね。過去の常識が非常識になると表現されていることに、強くうなずけます。
英語もそうなんですが、デジタル・IT用語や技術についても、共通の常識とした上で、その先を皆で創っていくことが加速していきます。このまえREEについて書いたところですが、技術に裏打ちされた発想勝負なところがあります。
残念ながらデジタル分野は変化のスピードがもともと速い上に、そこからさらに加速している状況に日本の多くの企業が慣れてないのと、世界的にはそれが基本的に英語圏をベースに造られてきているのですから、英語でコミュニケーションできないだけで遅れることなります。仕上げる質よりも、失敗も含めた経験数で実績が評価されて次のステップに進めることになるので、時間との勝負でもあります。
日本発の企業からも世界の波に乗って、これからのトランスフォーメーション実現の仕組みを作っていくことは、国内の少子高齢化問題など身近な問題を解決することにも大いに貢献することになるでしょう。
そのためには、長年続いてきた日本の多くの企業や社会の仕組みを、根本から作り直す場面も出てくることでしょうね。これから数年の間に、どう変わっていくか楽しみでしょうがないです。
さらにその変革にそれぞれの個人として、どう参加していくのかも、よく考えるべき時が来たのかなと思います。あ、考えずとりあえずなにか行動するほうが大事かもですね。