業績上がって失ったもの【経費7兆円減】
かつてないほどに人の移動を自粛し、積もり積もって経費が3桁億円節約できた企業が続出している模様ですね。
この日経の報道に接した時に、あぁ身近にも起こっていると思うと同時に、そもそも今までのビジネススタイルとは何だったのか、改めて考え直した人も多かったのではないでしょうか。
企業の利益にそのまま貢献
新型コロナ対策では、近くの客先に普通に訪問することすらはばかられる事態となりました。営業職などが今まで慣習的に続けてきた、直接会うという行為自体が、ともすれば迷惑行為ととられてしまうような異常事態です。
そんなことですから、営業社員や経営者も含め、新幹線や飛行機を利用したビジネスマンの出張など、よほどの理由がない限り行く理由がみつからなくなりました。いままで考えもしなかったことに気を配ることにもなり、ともかく単純に中止とすることがほとんどとなりました。
これが何ヶ月か続くうちにリモートでの社内環境が整い、さらに社会全体が慣れてきたあたりで「わざわざ来てくれなくていいです」とか「リモートで打ち合わせましょう」とか、ある意味常識みたいになってしまいました。
こんな状態だと、普通の営業スタイルだと商売にならんわ的な感覚にもなりますが、じつは定常的な取引が続いている間は売上が続き、経費だけ削減される状態になっているわけで、企業の利益には貢献です。
今まで必要だと思われていた出張費や交際費がまるまる浮いてしまうことになり、その分を今後の経営体力をつけるための投資に回せるというわけです。
誰もが慣習を振り返ることに
さて、この大きな変化で喜んでいる人もいる中で、実際に人と会うことを前提に仕事文化を作ってきた社員にとっては、違和感が日に日に積もってきています。
会社間の取引を支える商習慣は、結局のところすべて人と人との関係性で成り立っていますから、国、業界、職種によってコミュニケーションのスタイルがだいたい決まっているものです。
それをコロナだからと言って、また経費が削減できるからといって、会わなくても会話はできるとは言っても、リアルの価値にはかなわないことはみんな想像できてしまうのです。
いままでその出張、その接待、必要だったの?と訊かれる必要すらなかったことが、いまやわざわざ理由を先に自分で述べなければ、行動を起こすことも正当化しにくく、じれったい状態に。
そして、やっぱりリアルに会って話をすることに、それこそ生きる意味を知らず知らずに感じてたことを振り返ることになっているんです。経験積んで、文化を背負っている年配ほど、これはキツイでしょうね。
働き方、商習慣、そして人生までも?
人が動くことによる経費だけでなく、オフィスの縮小などによる費用も、この機会にかなり削減予定かすでに減らした企業も多いと思います。
その減らしてコストカットした分、交通・宿泊・飲食などなどの提供企業側の売上は落ちていることになります。それが連鎖的に広がった影響で、商習慣や事業そのものの見直しも迫られている様相です。全部が以前のとおりに戻るとは思えないですねぇ。
そこからさらにDXをベースとした次世代の取引が進むと、社員にとっては何のために企業で働くのかという、そもそもの理由を各自がもう一度見直すことになっていくんじゃないかとも思われます。
目的は何であれ意思疎通、つまり人と人とが交流すること自体に価値があるということは説明が要りませんが、そろそろ仕事はAIと機械にまかせて、人がリアルで会うのはプライベートの場面や、目的を同じくしたコミュニティ内で楽しむ時だけということになっていくのかもしれませんね。