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【本業以外で】JR東の舵切り

乗り物 社会 経済 鉄道

毎日のようにお世話になっているJR東日本の電車。通勤定期のことも書いたりしました。

生活に組み込まれすぎて、利用者としては特に経営のことを意識することの無い鉄道会社の事ですが、コロナの影響で私自身もほとんど使わなくなってしまい、思いのほか影響は大きいだろうと気になっています。

社長が本業減らしを公言する時代

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コロナの影響で運輸業へのマイナス影響は、航空機だけでなく鉄道・バスなどの公共交通各社で大きいものになっています。

JRといえば民営化の前は国営の巨大鉄道会社ですから、国を背負った本業が鉄道なのだから、乗客に運輸というインフラを供給してやっているのだという文化が有ったと言います。でも時代は変わりました。JRになったとたんに、駅員(社員)が乗客に対して挨拶をするようになったとニュースになったくらいです。

JR東日本による2021年3月期の決算説明会資料を眺めてたんですが、もうとにかくとんでもない減収が気になりました。2021年3月期は前年度比較でなんと4割減の売上との予想です。営業利益は前年の約2600億円の黒字から、約7500億円も減少と聞くと、桁違いすぎてイメージできません。

予期せず密を避け、都心のオフィスが見直され、人々の働き方や生き方が本当に急激に音を立てて変化して、急に対応を迫られて出てきた社長の発表が、本業を5割まで減らすということです。つまり、流通・サービス事業や、不動産・ホテル事業、更にITやSUICA事業などを拡大していくということです。

終電繰り上げのワケ

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利用者にとって大きな影響と昔なら言われたであろうJR東日本による終電繰り上げの発表が有りましたが、今はあー仕方ないな、出歩かないしみたいな心持ちです。今はそれほど昔のように呑み遊びで深夜になる的なことをイメージできなくなっています。

終電繰り上げは、通常で考えれば社会的影響が大きいでしょうから言い出せなかったんだろうと想像しますが、資料によると設備投資にかかる費用のうち、ダントツにカネがかかるのは維持更新投資、つまり保線をはじめ相当に対象が広い輸送設備メンテナンスのための費用です。

保線してくれている人々は、超長年にわたり限られた時間での深夜作業を強いられているわけで、人々の早起きと夜ふかしに付き合わされているとも言えそうです。そこに台風や停電や事故など、24時間365日継ぎ目なしの時と共に回されている会社ですから、少々レギュラーの保線については30分でも余裕を持って作業できるようにするチャンスということでしょう。

同社の社長によると、もう人や社会の流れはコロナ以前には戻らないという前提での経営に、大きく舵を切ったということです。他の鉄道各社への影響も大きいでしょうから、かなり思い切った方針だと思います。

新幹線と定期収入

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もう一つ気になることと言えば、2021年3月期の新幹線の落ち込み予想です。

県またぎという単語が生まれたくらいで、出張自体が悪のように言う人も居ました。今はGo To トラベルキャンペーンなども定着してきて少々和らいできた感じもしますが、ともかく気軽に新幹線で出かけるという雰囲気では全く無くなりましたね。特に仕事での定期的出張会議や、表敬訪問などは私の周囲では100%なくなりました。

この感じが続くと新幹線の収支は今後しばらくは危機的でしょう。利益率の高い路線ですが、維持コストも高いわけですので、利用者が戻る以外に根本的解決は無いでしょう。ビジネス利用が戻るとすると何でしょうかね?現場にサポートで行かねばならないものづくり系とか、情報でなくモノや設備を相手にする現場に行くしか無いニーズが中心になるでしょうか。

あと、定期収入と非定期収入について資料に書かれています。定期券は、非定期つまり通常の運賃から割引があるため、営業キロ数あたりの売上は少ない設定JRになっています。そのため、非定期の運賃売上のほうが少し定期を上回っています。

社員が週に3日も通勤しないようなら、通勤定期券を購入しない方が会社にとってはおおむねトクになりますから、買い控えが進むだろうということで約1,000億円の減収を見込んでいるようです。

それよりすごいのは、非定期収入がガタ落ちと予想されていることです。前年度比50%以下で7,000億円弱の減収を見込むようです。定期持ってない人は、わざわざ出かけなくなるのと、新幹線乗らなくなるのとのダブルパンチですね。

さて、来年の今頃はどうなってるんでしょう。どこまで戻るかより、どこまで新しい取り組みが花開いているかに注目したいと思います。ニューノーマル創りですね。

実は上記資料の前半部分には、いいことがいっぱい書いてありますので、かなりこれからの過ごし方のヒントにもなるとも感じているところです。