アクセス良いところに人材【都心ビル売却の動き】
外出自粛要請で、飲食店への人の流れが変わっています。東京の新橋がよく取材されていますが、典型的なオフィス街ですよね。
長期的にも気になるのは、大手企業による自社ビルの大型売却の動きです。
都心オフィスの空室率上昇
もう説明が要らないほど、東京の都心に平日毎朝通っていた人の流れは大きく変わってしまいました。前にちょっと書いた時から更に悪い方に進んだ感じです。
緊急事態宣言も二回目となると皆慣れてしまったということもありますが、そもそも都心に通う必要が有った人たちの多くがオフィスワーカーで、さらに在宅勤務が可能な人も多いということが多くの人に認識されてしまいました。
これほど長く異常な事態が続くと思ってた人も少なかったからか、気がついた順に仕事や人生を見直す人も増えてきてますね。
ジョブ型雇用が日本でも進む大きな流れが来たり、最近多くなったのは、都心一流企業の大型自社ビル売却の動きです。
今までの常識では、日本の都心、東京のビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)にオフィスを構えることが、事業を有利に進める上での必要条件だとされてきました。
特に優秀な人材の採用では、都心に構えたオフィスへのアクセスの良し悪しが大きく影響し、その後も情報や人脈が集中する都心の方が事業効率が良いとされていました。
優秀な順に離れ空室率が上がる
常識というものはかくも簡単にくつがえっていくものですね。出勤前提、それも都心の真ん中の職場に毎朝通わなければならないというなら、入社をためらう人も多い時代です。
土地や建物の価格は、主にエリアや立地によって決まりますが、もちろんニーズが存在しなければ値段がつきません。現在のところ都心オフィスの空室率は上がる一方です。
最近よく耳にする三鬼商事のデータが物語っていますが、空室率は上がり続け、平均賃料は昨年7月以来ずっと下がり続けています。
最近ニュースを賑わせているのは、電通の本社ビル売却の動きです。
同社からパンデミック以降に出てきた話として、社員の個人事業主制度を大胆にすすめることで話題になりましたが、ビル売却の動きはその延長線上にあるんじゃないかと思います。
そもそもなぜ都心?という前提条件が一つ一つと剥がれていることに、多くの人が気がついてしまったんですね。
大きく分けて、仕事モードの街と遊びモードの街では、前者の大規模オフィス街から人がどんどん少なくなると思います。
当座の事業資金を得て会社を存続するために、保有不動産を流動化させたり売却する必要に迫られた会社も多いようですが、今後企業の資金調達ポリシーまで変えていかなければならないご時世になったということでしょう。
事業効率といういろんな条件が複雑に関係してくる数値を向上させようとしたら、都心に高額のオフィスを構える必要が無いと判断する優秀な企業は増えてくるのではないかと思います。
投機には都心オフィスが好条件
このような土地・建物の売買の動きが高まってくると、投機マネーが流入してきます。
現時点での買い手が減っている状況では、今まででは考えられない低価格で購入できるチャンスも広がり、購入資金を捻出できる者にとっては東京を買い漁れる千載一遇のチャンスだと判断するケースが増えています。
タワーマンションブームが終わってアジアや欧米の投機マネーが逃げ出したという話も、形を変えてまた流入してくるのも投機と考えれば自然な流れですね。
ともあれ100年に一度規模の大きな人の動きの変化を受け、将来を正しく予想できてお金を持っているものが勝つ、変化の激しい時代に突入したんだと思います。
資本主義経済の中でまだまだ格差は広がっていくでしょう。企業にも個人にも。
日本の人口がこれからも減り続ける中で、企業は必要な人材を確保するための考え方を、急いで変えなければなりませんね。
アクセスの良いところ、つまり通勤が必要でなく必要な時に情報と心が通じ合える優秀な環境を提供できる会社でこそ、次世代の価値を生む人材が働く気になれる選択だと思います。
それ以外の環境には、それなりの人が集まる、と。
昭和な私にとっては、飲み屋街の隣に有るボロい小さなオフィス(超高速ネット付き)で働くなんてのが好みなんですが、もうこのパターンは無理ですかねぇ。。。