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東京の空室率が増加

働き方 生活 社会

コロナの影響もあり、テレワークも一気に進んできました。
緊急事態宣言のあたりから、既に企業の関係者の間ではオフィスが本当に要るのかとの疑問も出てきましたが、現実味を帯びてきました。
事業拠点としてのオフィスのあり方や、ひいては働き方・生き方はどこに向いていくのか、ちょっと書き留めておこうかと思います。

 

東京都心の空室率も上昇中

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オフィス仲介サイトの三鬼商事の調査によると、東京都心オフィスの空室率は、前月から0.8ポイント上がって2.77%に。すでに5カ月連続して悪化しているようで、同社が調査を始めた2002年以降で最大だっととのこと。

もともと2020年に予定されていたオリンピックに備え、行政からは都心に事業所を構える企業に広く体制整備を求めて準備していたところなので、考える土台はできていたという感じでしょう。

オフィスの賃料は、物件の需給バランスだけでなく企業心理や景気にも左右されるため、時と共に大きく変動していきます。空室率が高いときには賃料は安くなる傾向になります。

それでも面積あたりの単価はジリジリと上がっていっているそうで、新しい高級物件にシフトしているからでしょうか。

 

東京のオフィスの必要性って

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直近の状況ではまず、経済の立て直しには数年かかるのではないかとの悲観論も聞こえてきます。
そこへさらに経営効率化としての働き方改革が導入されていく流れになっていき、都心の物理オフィス不要論が出てきました。

伸びている分野から安定して利益を受け取れる環境にある経営状態であれば、オフィスにかかるコストはたいして経営上問題視されないでしょう。

利便性の高い東京、それも主要ビジネスエリアに社屋を構えるということは、利害関係者を意識した見た目のステータスや、すぐに人と会える好アクセス性によって、重要な商流への参加度が上げられるなどの利点は多々あると思います。

 

東京のあり方とオフィス空室率

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なぜ東京?という話題になった時に聞きますが、その昔は会社が大きくなると東京に加えて大阪に支社を構える、またはその反対というパターンが多かったそうです。

その後新幹線や飛行機での移動が一般化し、ビジネス上の距離を縮めることができる様になったため、経営は東京一極集中。

実働部門として地方拠点に配置という企業が増えたため、東京の都心については空室率が他の都市に比べて低いということは、無理してでも東京にオフィスを構えるということが当然という心情だったんだろうと思います。

社員満足度向上の側面では、職住接近を重んじて、電車の路線や駅からの距離が近いオフィスにいい人材が集まるという傾向は有ると思います。
でもこれらの今までの常識が、ITリモートにより崩れ去ったと言っても良いでしょう。

人の生き方をデザインする上で、場所の制約から開放されたと言ってもいい状態です。
大阪・名古屋でも空室率が上昇しているということで、場所によらず心情は同じと言ったところでしょう。

企業としては、事業継続に必要な優秀な人材を集めるためには、都心に有る便利なかっこいいオフィスでなく、環境と考え方を与える時代になったのですね。言われてみれば、欧米型のホワイトカラーは皆この方式なんじゃないでしょうか。

 

経営と働き方を、空室率から考えたい

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空室率には、オフィスだけでなく工場・倉庫・一般の住宅など、それぞれ別の分野でも広く観測されています。例えば物流拠点の空室率では、外環道沿いは低いものの圏央道沿いは高いなどの観点が有り、それは沿道沿いに住んでいる人手不足によるものであるなどの分析もあります。

人の住居に関しても、物件を選ぶ理由の多くは通勤ですが、コロナを境に今後は多くの人が生き方を見直し、地方分散が始まるのではないかと思います。

そうなればますます都心に置いておくべきオフィスは、相当縮小しても事業経営には影響ないでしょうから、まだまだ空室率は上がっていくでしょう。むしろ縮小しない手は無いと感じます。

ここでもキーワードは人の心だと思います。

企業存続のためには雇用の存続。そして情報チャネルに困らなくなった人材は、一気に流動化に向かっています。

高度成長期のアナログ世代が築き上げた日本の社会インフラと企業文化は、生き残りのためにも今、急いで変えるべきタイミングだと思っています。

少子高齢化も進んでいきますが、せめて一人あたりのGDPで、もう一度先進国の上位を狙うというのがわかりやすいと思うんですがどうでしょうか。