【お役所仕事】やればできるの代名詞に
一般市民としてお役所仕事という比喩を使う時には、往々にして融通がきかないとか、仕事が複雑で遅いとかという印象を持っていましたが、最近はどこの役所に足を運んでも、とっても「民間的な」応対をしてくれる印象に変わりましたね。
ただ、仕事の進め方は非常に旧態依然とした紙とハンコの官僚制度がはびこっているという話を聞いていました。
ITにも現場にも詳しいリーダー
そんな中、茨城県庁の業務から、ハンコをほぼ撲滅したとの話を読みました。
ハンコが消えた!半年弱で決裁書類の電子化100%を実現した茨城県の挑戦
https://www.concur.co.jp/newsroom/article/ibaraki-elocal-government
現在の茨城県知事は大井川和彦氏。マイクロソフト・シスコ・ドワンゴとIT畑を渡り歩き、その前は経産省官僚だったというのには驚きです。
こういうトップが県知事になったとしたら、それは当時の非効率な紙とハンコベースの業務を見たら、耐えられなかったんじゃないかと思うんですけどねぇ。
ただ彼が違うのは、それに気がついてものすごいスピードで本当にハンコ廃止100%のワークフローを達成してしまったことです。
現場の問題点もITなどの技術も、そして人を動かすことも経験しているリーダーがトップになったからこそ実現した快挙でしょう。その結果多くのムダが排除され、大量の保管スペースが必要だった職場環境も良くなったそうです。
なによりのメリットは、処理スピードが5倍程度になったとのことで、すべての関係者にとって利点でしかありません。
何がそうさせてるのか、お役所仕事
この県庁で起案される決済書類はなんと年間28万件もあるとのこと。これを人でのアナログ処理からデジタルフローにするべくシステム導入して、10年以上にわたり電子化率は20%に届かなかったらしいです。
なにがそうさせてしまったのか、聞いて笑ってしまったのは、やはり「職員が長年紙決済に馴染んでいたこと」ということ。慣れた作業、居心地の良い慣れたやり方や場所からはなかなか人は出たくなくなるものだなと思います。それを半年でほぼ100%の達成率にもっていったというんですからすごい!
さらに、官民で言えば、民間の最新技術が官に導入されるのは後となり、時間差も有るため、デジタル技術のように進化の激速なものは、よほどのパワーが無いと現場に降りていかないんでしょう。
また、長年勤めあげなにかのプライドにとりつかれた職人がどこの部署にも居るもので、実際そういう人が現場仕事をまとめ上げていたりするので、意見は相当に尊重しなければならないという忖度も発生します。
でもこれらを理屈とデータで払拭して、一気に変えてしまうトップダウン式でないと、システムの活用ができないということは、やってみなければわからないので、茨城県庁の場合は相当ラッキーだったと思います。
デジタル世代が社会を作る日
役所や会社の中の仕組みや手続きを決める際に力を発揮するのは、法律とそこのトップの方針です。こうでなければならないというルールを作るのも実行するのも人ですから、その人の考えと行動の質が悪ければ、最新技術をすぐに導入活用するという発想に至りません。
少なくともこれからの日本や世界を作っていくのは、生まれた時には既にスマホとインターネットが世の中で空気のような存在になっていたという世代です。取説を熟読してゆっくり使い方を習うような事をやっていては、日が暮れるじゃなくて、ひと時代過ぎちゃうんですね。
すでに世界のデジタル先進国に大きく水をあけられてしまった「先進国ニッポン」は、昔からのプライドを将来のプライドに急いで変えるべく、官民挙げて茨城県庁の事例を真似するところから始めたらいいんじゃないでしょうかね。絶対にみんな早くおうちに帰れて、人生楽しくなりますから。
この手のシステム化による効率化普及は、ルールで縛るのでなく、え!?紙書類にハンコですか?マジですか?クスクス、、、デジタルなら5分、アナログなら3ヶ月待ち、みたいな世界にしてしまえば一気に進むんじゃないですかね。