紙と印刷が消えていく【機内誌のデジタル化】
ANA(全日空)の機内誌と言えば翼の王国。良質コンテンツがよく紹介されていた印象があります。
フライト搭乗記念に持ち帰ることもできる通常の紙の冊子ですが、本日2021年2月25日デジタル化されることが発表されました。
書籍は着実にデジタル化へ
機内誌でいつも感じるのは、独特の世界観と良質の記事です。
出張時に翼の王国が目の前のポケットに入っていると、あぁLCCじゃないってのもなかなか良いな、などと思う時代になっていました。そしてパンデミックの影響で、ここ一年以上さっぱりフライト利用からは遠ざかってしまっています。
その昔はJALとANAしか基本的に選択肢が無かったところにLCCが次々と参入し、プライベートの旅行だけでなく出張もLCCをよく使うようになって、そんなことを思うようになったのですね。
そんな中、目に留まったのは、ANAからのリリースです。
なるほど。ここにもデジタル化の波が来たかと思って読んでみると、どうもアナログの冊子をとうとう廃止するとのことですね。
機内で提供する新聞・雑誌についても順次紙媒体からデジタルにシフトしていくようです。
考えてみれば、タイムリーな情報については、いまや紙に情報を印刷してそれを輸送し、さらに航空便に乗せて乗客に提供することは、古いスタイルになってしまいました。
まぁ確かにニーズの変化という言う意味では、ネット環境を提供してくれるほうが、乗客にとってはありがたくなった状況と言えます。
Wi-Fiに1000円かかると聞いて、涙を飲んでクレカ決済したこともありました。ちょっと大げさですが、どうせなら無料で使えるフライトを選びたいですよね。
SDGsが世界じゅうの社会で表現されてきている背景もあって、省資源やCO2排出量低減などの環境対応をすることが、企業としてあたりまえと思われるようになりました。
これに後押しされ、重い紙を運ばないという意味合いで、紙媒体の廃止は普通に受け入れられていくことでしょう。
機内誌という位置づけ
書籍の中でもかなり特別な位置づけと思える機内誌ですが、制作側から考えるとコストが相当にかかっているサービスの一つでしょう。
空の便のサービスは、高額でも許されていた時代は終わり、各社の激烈な競争の中でコストカットが社の存亡に関わることも珍しくなくなってきました。
まさかのパンデミックによる、根本的な生き残り策を実施しなければならない航空各社にとって、今回のような機内誌デジタル化施策はそれほどインパクトは大きく無いとは思います。
しかし時代の波に乗りつつカット、できるところはこの機会に大胆カットするという意思を感じます。
紙の冊子を制作する側にとっては、取引自体がなくなるか、最低でも業務内容は大幅変更ということになるでしょう。他社も追随するでしょうし、機内誌に関わらず、雑誌も新聞もですので、印刷物に関連する多くの業界にとってはしばらくは激震が走るのではないでしょうか。
逆にお土産や記念品としての位置付けで機内誌だけ紙で残したとしても、それをフライトのたびに人数分購入する市場が有るとは思いにくいですね。やはり今後はデジタルコンテンツの提供だけになるでしょう。
書籍の電子化は進む
既に世間では電子書籍が幅を効かせていて、流通する書籍に占める割合も年々上昇していきています。コンビニでの縮小も少々書いたところでした。
飛行機で年間何千トン分紙の冊子を一社で運んでたことがこれで終わるとして、今後は情報を伝えて破棄される印刷物については、これまでのペース以上で減少していくことになるでしょう。
個人的な話としては、以前に比べたら書籍を読む機会は増えました。ただ、紙の書籍はほとんど買わなくなりました、というかとうとう今年はゼロ冊になりましたね。
紙として残しておく必要が有るものは無く、全て情報をタイムリーに欲しくなってものをそれこそ思いついたらクリックひとつで買ってしまうようになってしまったのです。
逆に言うと、わざわざ上等な紙に上質なコンテンツを印刷した、例えば絵本のようなタイムリーではなくてもいいモノを、贈り物にするなどとう世界は、特別感も有ってまだ伸びしろが有るのかなと思えます。
このところ近くの本屋さんが1軒また1軒と無くなっていきます。
紙の本の文化が変われる先には何が有るのか、興味深いですね。